⭐⭐⭐☆☆(3.5/5)
⭐ 結論
面白い・面白くないでは判断できない、社会問題と正面から向き合わされる一冊でした。
👍 こんな人におすすめ
少年法や被害者遺族の心情など、重いテーマに正面から向き合う社会派ミステリーを読みたい方。
⚠️ 注意点
フィクションとしてのミステリーを気軽に楽しみたい方には、少し苦しく感じる内容かもしれません。
この記事で分かること
- 『目には目を』のネタバレなしレビュー
- 読んで感じた良かった点・気になった点
- ネタバレありの感想(後半に掲載)
💭 読了後の第一印象
今回読んだのは、荒川帆立さんの『目には目を』です。
きっかけは、図書館で荒川さんの『元彼の遺言状』を借りようとしたところ貸し出し中だったこと。代わりにあらすじが気になったこちらを手に取りました。
読み終えた今の率直な感想は、「深く考えさせられる内容だった」ということです。
余韻というより、引きずるという感覚に近いかもしれません。
社会問題と向き合わされている感じがして、読んでいて苦しい部分も多くありました。
正直なところ、この作品は「面白い・面白くない」で判断できるタイプの物語ではないと思います。
フィクションとして楽しむのは、私にはあまり合いませんでした。
ですが、だからこそというべきか、独特の緊迫感があり、気づけば夢中で一気に読み終えていました。
📖 ネタバレなしレビュー
あらすじ
かつて10歳の少女・有海を殺害した少年A(堂城武史)は、少年院を出所して社会復帰していましたが、ある日、有海の母・田村美雪によって刺殺されます。
美雪は「目には目を、死には死をもって償ってもらう」と主張し、自首しました。
少年法で実名が秘匿されているはずのAの居場所を、美雪はどうやって突き止めたのか。
彼女はSNSで懸賞金をかけて情報を募っており、Aと同じ時期に少年院にいた「少年B」からの密告が、実行の鍵となっていました。
ジャンルとしては社会派ミステリーですが、謎解きの爽快感を楽しむというより、「復讐と贖罪」という重いテーマと正面から向き合わされる作品だと感じました。
👍 良かったところ
物語の仕掛けに驚かされた
二重のどんでん返しには、素直に驚かされました。
語り手のある事実が判明する場面や、密告者の正体が明かされる場面は、特に印象に残っています。
ルポ形式ならではの没入感
第三者の視点で淡々と進んでいた取材記が、いつの間にか当事者の物語へと変貌していく構成が秀逸でした。
ノンフィクションを読んでいるような緊迫感があり、この構成の巧みさは本作の大きな魅力だと思います。
🤔 気になったところ
登場人物に共感しづらい
事件を追うライター、復讐を実行した母親、そして少年院で共に過ごした元少年たち。
登場人物の誰にも、あまり感情移入できませんでした。
現実だったら関わりたくないと感じてしまうような人物ばかりで、そこが読んでいて苦しかった理由の一つだと思います。
結末は好みが分かれそう
最後に示された答えには救いを感じる一方、納得しきれない部分も残りました。
読み終えたときの気持ちは、人によって大きく違いそうです。
⭐ 総評
一言でまとめるなら、
「面白い・面白くないでは測れない、重い問いを突きつけてくる社会派ミステリー」でした。
フィクションとして純粋に楽しむタイプの作品ではなく、読んでいる間ずっと社会問題と向き合わされているような感覚がありました。
正直、苦しい読書体験でもありました。
それでも、二重のどんでん返しやルポ形式の構成には引き込まれ、気づけば一気に読み終えていたのも事実です。
登場人物には最後まで共感しきれませんでしたし、結末にも納得しきれない部分が残りました。
ですが、こうした「モヤモヤが残る」こと自体が、この作品の狙いなのかもしれないとも感じています。
⭐ 評価
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 読みやすさ | ★★★★☆ |
| 意外性(謎解き) | ★★★★☆ |
| 没入感・構成 | ★★★★★ |
| キャラクターへの共感 | ★★☆☆☆ |
| 読後感(好みによる) | ★★★☆☆ |
総合評価:⭐⭐⭐☆☆(3.5/5)
📚 こんな人におすすめ
✅ 少年法や被害者遺族の心情など、社会問題を扱った物語に関心がある方
✅ ルポ形式の緊迫感を味わいたい方
✅ どんでん返しのあるミステリーが好きな方
✅ 読後にすっきりしない余韻も含めて楽しめる方
✅ 荒川帆立さんの他作品を読んだことがある方
気になった方はこちらからチェックできます。
⚠️ ネタバレあり感想
※ここから先は『目には目を』の結末や核心に触れる感想です。
未読の方はご注意ください。
💭 被害者遺族への共感
我が子を殺された田村美雪の「目には目を」という心情には、強く共感してしまいました。
自分が同じ立場だったら、復讐してしまうかもしれない。
なんて考えずにはいられませんでした。
同時に、重大な罪を犯しても数年で社会復帰できてしまう少年法については、理不尽というか、憤りを感じるようになりました。
今後似たようなニュースを目にするたびこの作品を思い出してしまうかもしれません。
💭 リアルすぎる少年たちの描写
罪の意識が薄かったり、認知が歪んでいたりする少年たちの描写は非常にリアルで、ノンフィクションを読んでいるような生々しさがありました。
読んでいて不愉快に感じる場面も多かったです。
ですが、犯罪を犯した背景にある知的な能力の低さや過酷に感じる家庭環境も丁寧に描かれていて、単なる「悪」として切り捨てられない複雑な感情を抱かせられました。
悪は悪としてそこからは何も考えない、関わらない方が、正直楽だったと思います。
💭 二つの真相と、その先にあったもの
フリーライターの仮谷苑子が、密告者を探すため元少年たちへの取材を進めていく中で、彼女自身が「殺された少年A(堂城武史)の母親」であることが明かされます。
そして、密告者「少年B」の正体は、自らの命を美雪に差し出すことで罪を償おうとした少年A自身であったことが判明します。
苑子は復讐の連鎖を断ち切るため、残された少年たちの更生を見守り、その姿を服役中の美雪に伝え続ける「反省には反省を」という道を選びました。
💭 結末に対するモヤモヤ
最後に示された「反省には反省を」という答えには、絶望の中の一筋の光や救いのようなものを感じました。
ただ、それと同時に、納得しきれない感情も残っています。
被害者の未来は失われたままなのに、加害者の更生を伝えることが本当に救いになるのだろうか。
そう考えると、釈然としない思いやモヤモヤ感が残ってしましました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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